特別対談[前編]
特別対談
これからの発達支援と
放デイの未来を考える
プロフィール
- 竹田 契一 たけだ けいいち
- 1937年兵庫県神戸市生まれ。1961年米国アズベリー大学卒業。1962年米国ピッツバーグ大学大学院言語病理学科修了。帰国後、言語発達・学習障害研究の草創期から研究と臨床に携わる。1975年、慶應義塾大学医学部大学院医学研究科を修了し医学博士号を取得。同年、大阪教育大学聴覚言語障害児教育教員養成課程助教授に就任。1983年より同大学障害児教育講座教授として、特別支援教育の発展に大きく寄与した。2002年に定年退官し、大阪教育大学名誉教授となる。現在は、大阪医科薬科大学LDセンター顧問などを務め、日本における発達障害・LD(学習障害)支援の第一人者として広く知られる。一般財団法人特別支援教育資格認定協会理事長、日本LD学会副理事長を歴任したほか、NHK・Eテレ番組制作協力、あさイチ、フクチッチなど発達障害関連のテレビ番組にも多数出演し、啓発にも力を注いでいる。また、氏は言語発達、学習障害、特別支援教育の各領域で、多数の著作・監修書・訳書を刊行。研究と教育実践の両面から日本の発達障害・LD支援の礎を築いてきた。代表的著作の一部として『図説 LD児の言語・コミュニケーション障害の理解と指導』『高機能広汎性発達障害の教育的支援』『LD・ADHDの教育的アセスメント』などがある。
- 足立 陽子 あだち ようこ
- 2008年、日本において発達障がい児についての専門性を持つ受け入れ先が少ないことに疑問を抱き、自らフリー・スクール「チーム・ギフテッド」を設立。開設に当たり、英国、ハワイ、ニュージーランドなど、各国の先進的な特別支援教育を視察し、現場の教育手法に反映。その間、国内外の学識者との研修会、全国各地のフリースクールの立ち上げなどにも参画した。現在は、英国にて心理学を学んだ長男の瑛児氏とともに、ASD、ADHD,LDなどの子どもたちの特性に応じた学習支援を展開すると同時に、ギフテッドと言われる子どもたちの海外研修・留学、アカデミックキャンプなどによる学習力・生活力の向上に力を注いでいる。
- 三野原 信二 みのはら しんじ
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1964年福岡県福岡市生まれ。福岡大学商学部商学科卒。厚生省病院管理研究所研究科終了。昭和63年に家業である精神科病院に入社。主な公職として、一般財団法人福岡県社会保険協会会長、社団法人福岡青年会議所事務局長、同財政顧問、同法制顧問を歴任。2004年には世界百ヶ国以上の青年経済人を集めた過去最大規模の国際青年会議所世界会議福岡大会事務総長を務めた。現職は、医療法人泯江堂副理事長、西日本メディカルサービス株式会社代表取締役。
コロナ禍に入り大学時代からの夢であった作家活動をペンネーム「三野原明音」名義で開始。処女作『残の海人』は、web小説界にて歴史とミステリーが交錯する叙事詩的作品として人気を集める。続くSF作品「ブースター」では、高校生の葛藤と成長を描き、多様な読者層から支持を得ている。 “物語には人を変える力がある”をモットーに朗読や物語療法的アプローチによる発達支援の新しいあり方に挑戦している。
令和2年4月。 我が国を襲った新型コロナウイルスは、子どもたちの学校・日常生活に多大な影響を与え、コロナ禍が終焉した今も不登校や発達障害の子どもたちは増え続けている。一方、家庭・学校に継ぐ「第三の居場所」として平成24年に創設された「放課後等デイサービス」も、その爆発的増加とともに、人材不足や療育の質の問題に直面している。今回は、「これからの発達支援と放デイの未来を考える」をテーマに、発達支援における日本の第一人者である竹田契一氏と福岡における発達障害のためのフリースクールの先駆者である足立陽子氏から話を伺った。
1 増え続ける不登校児童・生徒数
- 三野原
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竹田先生、足立先生、本日はご多忙の中、ありがとうございます。
今日は「これからの発達支援と放デイ*の未来を考える」をテーマに、竹田先生には専門的な見地から、足立先生には現場を踏まえたお立場からご意見をいただければと思っております。
どうか最後までよろしくお願い申し上げます。*放デイ 「放課後等デイサービス」の略。【資料1/不登校児童・生徒数の推移】
さて、さっそくですが、最初の問題提起として、私の方からひとつのグラフを提示させていただきます。
資料1/不登校児童・生徒数の推移 このグラフは、我が国における平成26年から令和5年までの不登校児童・生徒数の推移ですが、ご覧のとおり、右肩上がりで増え続けています。
平成26年が約12万人、令和5年が約34万人ですから、実に10年間で約2.8倍に急増しました。そして、この数値を、コロナ前後で比較しますと、コロナ前の平成26年~令和元年までが対前年増加率平均8.2%であったものが、令和2年~令和5年は、その数値が17.8%に跳ね上がり、増加スピードも2.2倍に加速しております。
竹田先生、このようなグラフを見ますと、やはり新型コロナが学校生活のあり方や、子どもたちへ深刻な影響を与えたことは間違いないと思うのですが、先生のご見解は如何でしょうか。 - 竹田
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はい。今お示しのものは全国のデータですけれども、私の住む兵庫県内のグラフも明らかに同じような傾向を示しています。特に、コロナ期のピークである令和2・3年は、ものすごい勢いで不登校児童・生徒数が増えていました。そして、この頃の子どもたちがどう過ごしていたか、というと、学校がない時は家庭にいるしかなかったわけで、友だちと会えなかったり、授業はあってもオンラインのズームのみだったり、人と会わずに家でゲームばかりしていたり、と、様々な条件が重なって、それが結果として不登校につながっていったわけですけれども、そのどれか一つを取り上げて、これが原因、とは特定できていません。
- 三野原
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オンライン授業といえば、普通の子どもでも聞き取れなかったり理解が難しかったりすると思うのですが、発達障害の子どもたちにとっては、もっと深刻な状況だったのではないでしょうか。
- 竹田
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ええ。ところが、逆のケースもあったりします。オンラインだと、目の前に他の友だちがいないから授業に集中できた子もいるのです。だから、オンラインすべてが悪かったというわけではないのですけども。ただ、ひとつ気になるのは、コロナ禍で明らかに違ったのは全員マスクをしなければいけなかったということで、感覚過敏の子どもたちがたくさん見つかりました。顔中マスクで塞がれることによる匂いだとか、マスクの触覚だとか、これに耐えられない子どもたちがいたのです。ところが、学校の先生は彼らにマスクをしなさい、と命令せざるを得ず、これがものすごいストレスになるわけです。これも不登校の一つのきっかけですが、その中身を調べていくと、実に様々な要因があることが次第に明らかになってきています。
- 三野原
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なるほど。わたしたちが考えるほど不登校の原因は単純ではないということですね。ところで、足立先生。コロナ期の3年間というのは、フリースクールの現場ではどうだったのでしょう? 打撃は大きかったような気がいたしますが。
- 足立
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子どもたちによっては自宅に引きこもるケースも確かにあったと思いますが、実は、フリースクールや放デイがこの間すごく増えてきていたおかげで、学校以外に楽に過ごせる居場所があり、それが子どもたちにとって救いになっていたという事実もあるのです。
- 三野原
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そうだったんですか。やはり学校と違う小規模な集団があったということは、そこに通う子どもたちにとっては大きな心の支えになっていたのでしょうね。
- 竹田
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フリースクールに通えば登校扱いにしてくれる学校もありましたからね。
- 足立
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そうなのです。また、私たちは当時は寮もやっておりましたので、その点が他のフリースクールとは事情が違う点かな、と思います。
- 三野原
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確かに竹田先生のおっしゃったフリースクールの出席を学校の出席と認める、という柔軟な対応があったおかげで、不登校者数がなんとかこの数値で踏みとどまった、という見方もできるかもしれませんね。
ところで、竹田先生、さきほどのマスクの話に戻りますが、コロナ期間中、顔が半分マスクで隠れていたことに対して、子どもにとってはどんな影響があったとお感じですか? - 竹田
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一番大きな影響は、たとえば自閉スペクトラム症(ASD)をもつ子どもは、人の表情が読めないという特徴がありますが、相手がマスクをすることによって、それが、さらに読みにくくなってしまう。また、学校の先生もマスクをしていますから、場合によっては一度も担任の先生の顔を見ないまま次の学年に上がる、ということも起こり得る。時にはそんな状況が幼稚園からスタートしているわけです。もともと人の顔の認知が弱いのに、さらにマスクによって拍車がかかり、コミュニケーションのうえでは致命的な弱点を抱えてしまう。このようなケースも不登校につながる背景の一つだったのではないかと思います。
- 三野原
-
なるほど。コロナ禍は令和2年4月から3年続きましたからね。大人でも大変だったのに、自閉傾向を持つ子どもたちへの心理的影響はさぞや、と思うのですが、全体的に見れば、学校行事が中止になったり、修学旅行がなくなったり、と、その喪失体験も深刻だったような気がします。
- 竹田
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そうですね。あの3年間は本来であれば、友だちとの関係を深める時期でもあっただろうし、運動会などの体験を通じて、集団の中で如何に適応していくかを学ぶ時期でもあったはずです。さらに、これまで伸び伸びと当たり前のようにやれていたことが、日常生活の中でたくさんの制約を受けたことで、子どもたちの心理に多大な影響があったことは否めません。
- 三野原
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とはいえ、コロナは令和5年5月から五類扱いとなり、事実上、インフルエンザと同様の対応になりました。そんな中、これからまだ不登校は増えていくのでしょうか? あるいは発達に特性を持つ児童・生徒数は?
- 竹田
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増えていくでしょうね。まず対策の難しさがある。原因がひとつであれば対処のしようもありますが、そうではない。不登校の原因は十人十色。一人ひとり違う。いじめもあるだろうし、学力不足もあるだろう。そして、コロナによる日常生活の制約があったことも関連しているだろう。
政府も何も対策をしていないわけではないのです。しかし、対策のわりには、不登校の伸びは鈍化していない。ここの説明が難しいのです。
今や発達障害や知的障がいの支援学校を作ればつくるほど、すぐ定員でいっぱいになってしまう。昔はそのような学校には行かせたくない、という保護者が主流でした。が、今は違う。子どもは少子高齢化で減っているのに、なぜ特性のある子どもたちだけが増え続けているのか。この原因が、実ははっきり解明できていないのです。 - 足立
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不登校の原因がひとつに絞れない、という話から思いついたのですが、今、支援学校についても、ニーズが多様化・複雑化していますよね。福岡ではIQが高い子どものためのステップアップスクールとか自閉傾向の強い子どものための情緒級とか、従来ひとつのクラスで扱ってきたものが、さらに細分化してきているようにも思えます。ここに発達支援の難しさがあるような気がします。
- 三野原
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なるほど。お二人のお話を聞いていて、私は、不登校の背景にはコロナ禍による複合的な要因、環境要因もあったと思いますが、やはり、発達特性の種類があまりに複雑多岐にわたっていて、それに私たちの知識が追いついていないことも、今の社会的な対応の遅れを助長しているような気がいたします。
次章では、そのような多岐にわたる発達障害のタイプについて語りたいと思います。
2 発達障害の種類について
- 三野原
-
さて、これまでコロナ禍における発達障害の子どもたちが如何に困難な状況に直面したのかを振り返ってきましたが、発達障害には多種多様な種類があり、その反応もさまざまである、ということはよく言われているところです。ここでは、まず私たちの思考を整理する意味で、発達障害の種類について、また、望ましい周囲の対応について、竹田先生からご説明いただきたいと思います。
- 竹田
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それでは、ここで、「発達障害の特性理解」というお話をさせていただきます。
従来、発達障害といいますと、これまで医学的には、自閉症(ASD)、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障がい(ADHD)の大きく3つに分類されていたのですが、2013年から、実は「神経発達障害群」が加えられ、4つになっています。しかし、まだ日本の教育分野では3つが主流なので、それに従ってご紹介します。【資料2/自閉スペクトラム症(ASD)】
自閉スペクトラム症。
昔は、広汎性発達障害とか、高機能自閉症、アスペルガー症候群、などと呼ばれていたのですが、それがひとつにまとめられ、「自閉スペクトラム症」と呼ばれています。長いのでASD。 分かりやすくいうと、
・空気が読めない ・人の気持ちが分からない ・こだわりが強い ・裏の意味が分からない
ということが特性として見られる。これは、環境で後天的にそうなるわけではなく、生まれたときからすぐにその要素をもっているわけで、中枢神経系の障がいが背景にあると言われています。【資料3/自閉スペクトラム症の代表的な3つの特性】
さらに詳しく説明しますと、ASDには代表的な3つの特性があると言われています。
資料2/自閉スペクトラム症(ASD)
資料3/自閉スペクトラム症の代表的な3つの特性
まず、1番目は、社会性・対人関係の特性で、空気が読めない、という特徴です。
2番目は、言語コミュニケーションの特性で、冗談が通じないよね、という点がある。「語用論の障がい」という言葉がありますが、この「語用論」とは言語学の用語ですけども、たとえば、 お母さんが台所をしているときにお風呂のことを思い出して、「A君、ちょっとお風呂見てきて」、と声をかけたとき、そこには「お風呂が沸いたか、お湯が一杯になったかどうか見てきて」という意図が裏に隠されているわけです。このような間接発話、というのを日本語はよく使うのですが、これが弱いのが発達障害です。ですから、家庭や発達支援を行う施設、放デイなどでは、その子に合うような言い方をしないと話が通じないことがよく起こります。
先ほどの続きですが、「お風呂見てきてくれた?」とお母さんが尋ねると、A君は、「うん、僕、見てきたよ」と応える。しかし、それはお母さんが期待していた答えではないわけです。
もうひとつ例を挙げてみましょう。たとえば、「お母さん、お腹空いた」 と子どもから言われたとき、「それがどうした」と応えるお母さんはいないはずです。その子どもに寄り添った答え方をするはずです。「もうすぐご飯にするからね」と応える。ここでは、質問と答えの間の言葉が抜け落ちています。この子どもの言葉には、「僕はお腹がペコペコ、だから早くご飯にして」という意味が含まれていて、それを汲んでお母さんが対応している。この間接発話というのを定型発達*の子どもたちなら3歳から理解できます。ASDの子どもにとっては、それが難しいのです。
最後の3番目は、異常にこだわりが強かったりする。
これらの特徴が揃うと、ああ、この子には自閉スペクトラムがあるね、と判断できるわけです。*定型発達 多くの子どもたちに共通して見られる標準的な発達の進み方。【資料4/パトリシア・ハウリンのことば】
こちらの資料を見ていただきたいのですが、これは英国のパトリシア・ハウリン先生の言葉です。
「もし自分の周囲で起きていることの意味が、理解できず、自分が周囲の人たちに伝えたいと思うことの伝え方が分からず、さらにその状況がどのように推移していくのか、という見通しを立てることもできず、その上その困難な状況を脱却するための想像力を失っているとしたら、あなたは一体どのような反応や行動を示すことになると思いますか?」
これは、子どもたちだけではなく、自閉を持つすべての方々の困難な状況について説明されているわけです。
【資料5/感覚の障がい】
その他に、ASDの大きな問題として、感覚過敏というものがあります。
資料4/パトリシア・ハウリンのことば
資料5/感覚の障害 小さい子は、不快な音に対して自分の両耳を手でふさぐ行動を取ることがよくあります。
そして、三半規管が絡むのですが、くるくる回ったり、あるいはつま先で立ってジャンプしたりする。最初は偶然くるくる回ったりジャンプしたりするのですけど、その瞬間に快感がバン、と脳に入ってきて、それからは嫌なことがあるとくるくる回る、とか、嫌なことを言われたときにジャンプする、という行動を取るようになる。そのうちに、それがルーチン化してしまって、いつもその行動をとるようになります。3・4歳の子どもにそのような行動が見られると「ああ、これは前庭機能の問題があるよね」とか、耳を塞いでいる子がいると、「この子は聴覚で何かすごい嫌な音があるんだな」ということが分かるわけですね。こういうことがASDには起きやすい。もう一つの例は、「触覚」です。首周りの感覚が敏感なのです。シャツの後ろのタグがチクチクするから切ってくれ、とか、あるいは、顔に水がつくのが嫌とか、頭を洗うのに一苦労とか、こういった触覚系の過敏性を持っている。
こういうのを併せ持っていたりすると、背景にASDがあるケースが多いということになります。
これは余談ですが、最近、冒頭にマスクが嫌な子どもの話をしましたが、ASDではないのにこのような感覚過敏の反応を示す子どもたちも現れてきました。だから、一層診断は難しくなってきた。そのような感覚過敏の子どもたちが大人になると、周囲のガヤガヤざわざわが嫌い、年末の忘年会は絶対に行かない、なんてことになります。
話は逸れましたが、新型コロナがあったから、このような多様な感覚過敏が見つかるようになった、という側面もあります。
資料6/認知特性 心の理論課題に失敗する 次に、ASDの特徴として、他人がどう考えるのかを推測するのが苦手、ということがあります。相手の気持ち、感情が理解できないのです。
ここで、最近分かってきたことがあって、「相互失認」という精神科の言葉があります。もともとは脳血管障害で明らかに人の顔の認知が難しくなるケースがあるわけです。この場合は病巣があって原因が特定できるが、ASDの子どもも人の顔が認知できない(相貌失認)、という特性がある。
こういったハンディを補うために、彼らはどうしているかというと、たとえば、自分のお母さんを「声」で判別したり、家から出てきたから「お母さんだ」、とか、服とか動きとか髪の毛とか、顔以外の情報で判断したりしているわけです。
ある実験があって、真ん中にお母さんがいて、左右にまったく同じ髪型、服装の女性を並べて黙って座っていたら、すぐに認識できない子が多い。
このようなことが最近分かって、「なるほど、この子たちが人の気持ちが分かりづらいとか、余計な事を言う、とか、相手が嫌がっていることに気づかない、とかいうのは、もしかしたら顔の認知から来ているんじゃないか」と。
だから、「今まではASDは人の気持ちが理解できないと言ってきたけど、顔の認知がよくなったら改善するんじゃない?」 そんなことも言われ出したのですね。
ここで次の画面をご覧下さい。
資料7/アイコンタクト これは、なぜASDの子どもたちはアイコンタクトを取らないのか、それを研究したアメリカの一つの実験ですけども、ASDの子に、「Aくん、君はこの4つのお菓子の中でどれが好きかい?」と尋ねると、キットカットを選ぶわけです。「なるほど、君はこれが好きなんだね。では、Aくん、この絵の真ん中にいるチャーリーくんはどのお菓子が好きと思う?」と聞くと、彼は「キットカット!」と言うわけですね。「どうして?」と聞くと、彼は「だって、僕が好きなものはチャリーも好きに違いない!」そう答えたわけです。典型的なASDの答えですが、問題は次です。3・4歳の定型発達の子どもたちに同じ質問をした所、全員、右下のお菓子を選んだのです。なぜかというと、中央の絵のチャーリーは右下を見ている。ということは、目の動き方で相手の気持ちを理解している、ということです。この結果から、先ほども申し上げたとおり、「じゃあ、人の顔の認知が良くなったらずいぶんASDの特性は消えるよね」と。
振り返りますと、このような「顔の認知で相手の気持ちを読む」という点では、新型コロナの時期は最悪でしたね。もともと人の顔の認知が弱いのに、マスクによりさらにそれに拍車がかかった。ASDの子どもたちが受けたコロナ禍のストレスというのは、定型発達の子どもたちよりも強い可能性がある。
【資料8/相貌失認は相手の感情を表情から読み取ることが困難】
さて、この顔の認知について、さらに解説していきますが、この右の写真はご承知の通り、英国の首相だったサッチャーさんです。
じゃあ、相貌失認の子どもたちにはどう見えているのか。
左の写真は、目を反対に逆転させて、口も反対に逆転させてみたもの。これではサッチャーさんとはわかりませんよね。
だから、顔の認知が弱い子どもというのは、あたかも、左側のような顔を見て、この人誰、と言われているのに等しい、と見て良いということなのです。
資料8/相貌失認は相手の感情を表情から読み取ることが困難 【資料9/表情が分からず全くのっぺり顔に見えるタイプ】
次に、これは、実際に私が知っている人のケースですが、私が「あなたはこれまで相手の顔をどのように認識してきたの」と尋ねたときの答えをイメージ画像にしたものです。ご本人に聞いてみると、相手の顔を「ぜんぜん思い出せない」と言うのです。知り合いなのに。で、「じゃあどんな感じに見えるの?」と聞くと、「顔がぜんぜんない」と。(左側の画像) そして、これはもう一人の方ですが、「目の所がどうしても分からないのよ」と。(右側の画像) だから、このような見え方が、顔の認知の弱さに大きくつながっている。言い換えれば、それがコミュニケーションの障害にもつながっている。それが対人関係の弱さにもつながっている。ということは、顔の認知というものが人にとって如何に大事か、ということを表しているわけですね。
だから、ここで大切なのは、「うちの子、少し自閉があるようなんです」と保護者がこのような特性を知らずに児童発達支援施設や放デイに子どもを連れてきた場合、このようなさまざまな問題があることを施設の先生がちゃんと知っておかないと、しっかりとした運営は本来できないのです。しかし、これまでの、たとえば放デイではこのような情報を把握せずにやっているところが実態としては多いわけです。
資料9/表情が分からず全くのっぺり顔に見えるタイプ 【資料10/中枢性統合の弱さ】
次は、ASDの特性、中枢性統合の弱さについてです。
よく、象の鼻の一部分だけを触って「象とはこういうものだ」と誤解する、という話があります。
部分を見て全体を見ない、ということですが、そういう傾向がASDに多いです。だから部分は得意で、あら探しはめちゃくちゃ上手なのですよ。一部しか見ないから。
これを中枢性統合の弱さ、といいます。
資料10/中枢性統合の弱さ 【資料11/ASDの特性とトラブル】
次は、ASDが引き起こすトラブルの典型例ですが、物事をいつも自分流で行うとか、人の意見を聞かない、とかですね。で、人のことは色々言うくせに、「あんたも同じことやってるやんか」ということに気づかないわけです。だから自分勝手と良く言われる。 あと、自閉的な特性のある人は、しつこさがあって、同じことを何回も何回もやったり言ったりするから、クラスでも「あの子のそばには行きたくない」となる。そうなると、学校で孤立しやすい、友だちがいない。だから、保護者は放デイなどにつれてきて「なんとかしてほしい」と、相談に来るわけですが、こういうASDの要素がちゃんと分かってないと施設側は対応ができないわけです。
で、児童思春期からだんだん大人になってくると、今度は、相手と会話が噛み合わないとか、人のミスを執拗に指摘する、とか、人の意見に耳を貸さない、とか。そのような特性が目立ってくる。
たとえば、「博士」といわれる子どもがいます。それこそ何百ページという図鑑をすべて暗記していて。どこに行くときも図鑑を抱えてます。重いから持って来なくていいよ、といっても、不安なんでしょうね、必ず持ってる。これが、幼稚園や小学校低学年までは、彼の博識を友だちもフゥン、と関心して聞いてくれるのです。ところが小学校高学年以上になってくるとそうはいかない。上に行けばいくほど孤立しやすい。
ただ、能力の高い進学校というのは、不思議と発達障害の子の居場所がある。ほかにもそのような子どもたちがいるものだから、障がいとして扱われないのです。いじめられない。ところが、公立とかだと、どうしても目立ってしまうのですね。
資料11/ASDの特性とトラブル 【資料12/超文節的機能】
さて、次も発達の特性のひとつですが、たとえば、子どもに強い口調で叱っても意味が伝わらない子どもがいます。
今から私が、「本当ですか」を3つのパターンで言ってみます。私の顔を見ながら聞いてほしいのですけども。
・本当ですか(疑惑)
・本当ですか(驚き)
・本当ですか(納得)
いかがでしょう。この違いが分からないのですよ。
学校で先生からキツく叱られている子どもがいて、私は、あまりにも可哀想だったので、その子に声をかけてみたのです。「今日は先生から叱られたなぁ」と。すると、「あんな、先生な、今日、声、大きかってん」と。声が大きいのは分かるのですが、自分が叱られたのが分からない。そのうえ教師からみたら、どうしてもふてくされているようにしか見えないのです。だから、放デイなどで先生が子どもを叱ったとき、ふてくされているような態度を見せたら、要注意です。それは「あなたが言ってることが全く分かりません」という意味なのかもしれない。
資料12/超文節的機能 だから、このように今日はASDの特性のいくつかをご説明しましたけど、このようなことを十分理解したうえで対応できる施設や場所というところが、実は放デイにあまり見当たらないのです。普通の子どもの延長と思ってやってますから。だから、望ましいのは、施設に入った時点で、その子がどこでつまづいていて、何が問題なのかを把握して、その子に合った対応をすること。子どもたちは十人十色。バックグラウンドに応じて対処することで、彼らがより幸せになり、楽しい居場所を見つけることができる。そういうような考え方で運営している施設を、実はわたし、あまり見たことがないのです。
【資料13/ADHDの子どもに共通して見られる特徴】
あと、ADHDについてもちょっとだけ述べてみたいと思います。
資料13/ADHDの子どもに共通して見られる特徴 ADHDというのは、「不注意」「多動」「衝動性」という、3つが揃って出てくるタイプのお子さんで、だいたい3歳児ぐらいから共通しているのですけども。
この傾向が強くなってくると、本人、叱られたことは全部分かります。「あ、しまった! 今度は叱られないようにしよう」、と。反省する。本当に反省するのですが、ところが、次の日には忘れているのです。忘却の彼方。これがADHDの特徴です。これで何回も叱られる。
「昨日、先生言ったでしょ?」、とやられるわけですよ。お母さんからも「何回言ったら分かるの?」と。
そのたびに反省してるのです、本人は。これが続くと、だんだん信用してもらえなくなる。
これがADHDです。
で、いつも身体のどこかが動いている。落ち着きがない、じっとしていない。
そして、衝動性。思っていたことをすぐに口にする。
たとえば、国語の時間。先生の話を聞いてる。けど、突然給食のことを思い出した。
「先生、今日の給食、なに?」
突然先生に聞く。授業とは関係ないことをポッと言ってしまう。これが衝動性ですよね。
それから、順番が待てない。
「今から50メートルを走ります。位置について。よ~い、ドン」
「位置について」、もうそこで走ってます。待つことができない。
また、「このケーキお兄ちゃんに残しておこうね」とお母さんがいった端から、もうケーキのいちごをつまんで食べている。 このような行動がだいたいADHDです。だから、いつも叱られています。
ただ、このような障がいがあるけども、知的障がいとは別なので、知的レベルはめちゃくちゃ高い子たちも多い。そして、万一自分の衝動をうまく抑えられた場合、「ADHDがあります」ではなく、「ADHDがありました」で済む大人のケースもある。ですから、私から見れば、「あ、この人はADHDなんだな」とすぐ行動で分かりますが、意外に問題なく仕事をやっているケースも多いし、医師や弁護士など、社会的に地位の高い方々の中にも山ほどおられます。さて、ここでちょっと新しい情報をお伝えしますと…
発達障害の中でお薬で改善できるものはADHDだけなのですね。
たとえば、覚醒機能を上げるお薬であるとか、集中力を上げるお薬とかがあるのですけど、やっぱり、こういうキツいお薬を使うので、どうしても副作用が出やすいです。ですから、夜眠れないとか、食事の量が減るとか、チックが出るとか、ですね。だから、どうしてもお薬が苦手なわけです。
そのようなわけで、来年には実はとんでもないことが起こるのですが、ゲームを用いてADHDを治療しようというプログラムが塩野義製薬から発売されます。 - 三野原
-
ゲームを使う?
- 足立
-
それは処方される、ということですか?
- 竹田
-
そうです。小児科の先生が処方するので、誰でもは使えません。
だいたい年齢的に7・8歳から14・15歳くらいまで、でしょうかね。20分✕5日間、2日休みを入れて、それを5週連続、とかですね。 ADHDの人にたとえばiPadならiPadを渡して、薬局でIDもらってそれを打ち込めば動き始める、そんな形じゃないでしょうか。たとえば、ゲームの中にボートが出てくる。そしてその中で自分のアバターがハンドルを持って激流の中を岩などのいわゆる障害物にぶつからないように目的地に時間内に到達する。本人は必死になってハンドル操作しなきゃいけない、障害物を避けなきゃいけない、次を予測しなきゃいけない。3つ4つのことを同時にやるわけです。これ、前頭前野をすごく刺激するんです。この前頭前野を複数刺激するゲームをアメリカのゲーム会社が開発したものを製薬会社が版権をとって、やっと今年厚労省からOKが出ましてね。こういうことをやっています。これ以外にも話したいことはありますが、ADHDはこれくらいにしまして…
次は詳しく触れられませんが、LDについてお話しします。
【資料14/読みの「つまずき」はどこにあるのか?】
学習障害*には2つあって、LDとディスレクシアというものがあるのですが、ディスレクシアの方は、能力が高いのですよ。LDというものは「読む」「書く」「話す」「聞く」の4つが全て低いのですが、ところが、ディスレクシアの場合は、「話す」「聞く」のレベルが高い。特に「聞く」力が高いのですね。やはり聞く力が高いと、学習能力はすごく上がる。
ですから、「うちの子、LDなんです」と保護者が来た場合、それは本当にLDなのか、または、LDの中でもその一部であるディスレクシアなのかによって指導プログラムが全く変わってくるのです。ディスレクシアの場合ははるかに速く効果的な訓練ができる、けど、LDの場合はそうはいかない。
しかし、共通しているのは、読みのつまずき。
・たどり読みになる ・読み誤る ・文字やことばを抜かして読む ・行を飛ばす、同じ行の頭に戻る
・読んでも、意味が分からない ・文章になると意味が分からない
こういった特徴があるうえに、書く方も文字が思い出せないとか時間がかかるとか、ありますけども…。
だから、背景がどのような読み書き障がいなのかによって指導プログラムがまったく変わります。そういうことを放デイでは考えていかねばいけない。ただ読み書きができない、と言って同じことをしたってダメなので。*学習障害 医学的には、学習障害(LD)は「読字障害(ディスレクシア)」「書字障害(ディスグラフィア)」「算数障害(ディスカリキュリア)」などを含む総称として用いられる。一方、本対談で用いている用語は、診断分類そのものを論じるのではなく、教育・指導現場における実践的視点に基づく整理である。特にディスレクシアについては、読字・書字に困難を示す一方で、口頭表現や聴覚理解に強みを持つ子どもが少なくなく、指導設計上、異なるアプローチが有効となることから、学習障害(LD)と区別して語られている。 【資料15/聞き取り困難症・聴覚情報処理障害 LiD/APD 坂本浩一、大阪公立大学大学院・耳鼻咽喉病態学】
資料14/読みの「つまずき」はどこにあるのか?
これをご覧ください。すごく興味深いです。
坂本先生が聞き取り困難症というのを見つけたのです。 ガヤガヤざわざわの環境の中で学力が落ちる子がいる、というのを科学的に見つけたのですよ。で、それが意外に多い。これがまたコロナ禍の中で見つかりまして。たとえば、学習をオンラインで行うとき、スピーカーの精度や周囲の環境で聞き取れない子どもが出てきた。
また、運動場で先生が拡声器で話すと言葉がほとんど理解できない、体育祭でマイクで話している言葉がまったく聞き取れない、そんなケース。聴覚としては問題がないので、検査ではわからないのです。音として聞き取れているけども、言葉として聞き取るのは困難だ、と。
マスクを付けていたり、電話の声だったりすると聞き取れない、とか、一対一では聞き取れるけど、集団だとダメだ、とか。
一番は、先生が早口だとダメなのですよ。教師が早口だと聞き取りづらい。そして、ときとして語尾が消える先生がいる。そうなると、もう、何を喋っているのか分からなくなる。
ほとんどの子は、たとえそうであっても前後の文脈で読み取れるのです。少々先生が下手でも困らない。ところが、このタイプの子はそれが出来ない。だから教師が彼らに合わせた話し方をしないかぎり、次第に学力が落ちるのです。このようなことが初めて明らかになってきました。
資料15/聞き取り困難症・聴覚情報処理障害 LiD/APD 坂本浩一、大阪公立大学大学院・耳鼻咽喉病態学 これでおわかりのように、施設や放デイにしても、通う子が、どのような聴力なのか、聞く力なのかをやっぱり知っておく。あるいは能力の評価、アセスメントが必要だし、それによって話しかけ方、接し方。たくさん話すときは子どものそばまで行くとか、「先生の口をいつも見るんだよ」と数回同じことを言ってあげるとか、ちょっとした配慮をする必要が出てくる。
それと、もうひとつ。
見え方の問題があるのですね。
【資料16/見え方に困難を抱えるケース】
今、ここで使ってる文字が、UDデジタルフォントですけども、見え方に問題がある子の中には、明朝体で書かれている文字が読めない子がいます。
明朝体というのは、筆で、太い部分と細い部分があるわけです。そうすると、太いところが影になって見えて文字がしっかり理解できない子が出てきたのです。だから、今、教科書は、UDフォントといって、ユニバーサルデザインの文字に切り替わってきています。
その子たちに文字がどう見えるかというと、たとえば、
・文字がだぶって見える ・文字が動く、ゆらぐ、飛ぶ ・文字が歪む、にじむ ・文字に影が見える ・文字が左右逆転して見える
このようなことが起こっている。
スライドの右側の画像ですが、これは私が過去、NHKの番組で使ったものですが、ある少年の見え方を再現したものです。本人は、その日の気分によって文字の見え方が3パターンに変わるわけです。こんなケースもある。
だいたい、こんな文字の読みに困難を抱えている子には、背景にADHDであることが多いです。
また、この現象が単独で出ることは少なくて、自閉のある子のほんの一部にこれが出てくる。
それと、つい最近はこんなことがありました。
あいうえおの「い」、ですが、それを速く読まないと時計回りに字が動いて「こ」、に見えてしまう、というケースがあった。そのことが二十歳になるまで見つからなくて、間違ってメガネをかけさせられたり、「ノイローゼです」、と心療内科に行かされたりということがあって、大阪医大に来て初めて理屈が分かったのですけども。
資料16/見え方に困難を抱えるケース 今、さまざまなケースを申し上げましたが、子どもを受け入れるに当たっては、このようなことを注意する必要がある。
【資料17/見え方に困難を抱えるケース2】
さて、ここには「えんぴつ」と書いてありますが、上の段は定型発達の子どもたちの見え方です。
えんぴつ、という4文字を普通は同時に処理するのですけども。
しかし、ディスレクシアにはこれが出来ない子がいる。一文字一文字読むタイプ。だから、普通大人になると速読する人がいますよね。数文字読むだけで段落を斜め読みできる人が。けど、このように、一文字一文字しか読めない子はそれだけ時間がかかるわけです。
このように、眼球運動に問題がある子もいる。
こういうことを施設は見つけなきゃいけない。
資料17/見え方に困難を抱えるケース2 【資料18/ワーキングメモリが弱い子】
【資料19/なぜ読み書きに時間がかかるのか・読み書きの自動化機能が働かない】
あとは、ワーキングメモリといって、記憶の問題、そして、その読み書きの「自動化機能」をどうやって働くようにするのか…
資料18/ワーキングメモリが弱い子
資料19/なぜ読み書きに時間がかかるのか・読み書きの自動化機能が働かない 【資料20/Vocapenを使用し文の音声化】
そして、最終的に、これはVocapenを使っている画像ですけども、この子は読むのが遅いのですね。これは京都の小学校ですけど、合理的配慮と言いまして、前日に先生が試験問題を預かって、赤い部分にシールを貼って、シールの中に音声が録音できるようになっていて、ペンでそこを触ったら本人が分かる速さでそれを読み上げてくれるのです。別室じゃなくて、みんなと一緒に試験を受けるときに読み上げてくれるわけですよ。今は、このようなことを学校でしてもいいですよ、ということになっています。
こんなことも放デイで出来れば、子どもの未来につながっていくわけですね。
資料20/Vocapenを使用し文の音声化 ですから、今後は、どうしても従来のやり方で成果が上がりにくい子は、ICTの技術を使って学校に対応できるようにする、ということを文科省も認めているので、不登校にならないためにも、このような技術が必要になってくる。また、ディスレクシアの一部の子どもは学年が上がってくるとついていけないようなケースも出てくるので、そのような場合はできるだけ早い段階でこのような電子機器を使うことで、もともと能力が高いのですぐ対応していける、というのもあります。そうすると、不登校になりにくい。
さて、ここまで発達障害にはどのようなものがあり、どのような対応が必要なのか、そのほんの一部をご紹介させていただきましたが、これからの日本では、このような多様な発達障害に対して、適切なアセスメントを行ったうえで、その子の特性に応じた個別プログラムを立てることが求められていることは間違いないところです。
プロフィール
- 竹田 契一 たけだ けいいち
- 1937年兵庫県神戸市生まれ。1961年米国アズベリー大学卒業。1962年米国ピッツバーグ大学大学院言語病理学科修了。帰国後、言語発達・学習障害研究の草創期から研究と臨床に携わる。1975年、慶應義塾大学医学部大学院医学研究科を修了し医学博士号を取得。同年、大阪教育大学聴覚言語障害児教育教員養成課程助教授に就任。1983年より同大学障害児教育講座教授として、特別支援教育の発展に大きく寄与した。2002年に定年退官し、大阪教育大学名誉教授となる。現在は、大阪医科薬科大学LDセンター顧問などを務め、日本における発達障害・LD(学習障害)支援の第一人者として広く知られる。一般財団法人特別支援教育資格認定協会理事長、日本LD学会副理事長を歴任したほか、NHK・Eテレ番組制作協力、あさイチ、フクチッチなど発達障害関連のテレビ番組にも多数出演し、啓発にも力を注いでいる。また、氏は言語発達、学習障害、特別支援教育の各領域で、多数の著作・監修書・訳書を刊行。研究と教育実践の両面から日本の発達障害・LD支援の礎を築いてきた。代表的著作の一部として『図説 LD児の言語・コミュニケーション障害の理解と指導』『高機能広汎性発達障害の教育的支援』『LD・ADHDの教育的アセスメント』などがある。
- 足立 陽子 あだち ようこ
- 2008年、日本において発達障がい児についての専門性を持つ受け入れ先が少ないことに疑問を抱き、自らフリー・スクール「チーム・ギフテッド」を設立。開設に当たり、英国、ハワイ、ニュージーランドなど、各国の先進的な特別支援教育を視察し、現場の教育手法に反映。その間、国内外の学識者との研修会、全国各地のフリースクールの立ち上げなどにも参画した。現在は、英国にて心理学を学んだ長男の瑛児氏とともに、ASD、ADHD,LDなどの子どもたちの特性に応じた学習支援を展開すると同時に、ギフテッドと言われる子どもたちの海外研修・留学、アカデミックキャンプなどによる学習力・生活力の向上に力を注いでいる。
- 三野原 信二 みのはら しんじ
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1964年福岡県福岡市生まれ。福岡大学商学部商学科卒。厚生省病院管理研究所研究科終了。昭和63年に家業である精神科病院に入社。主な公職として、一般財団法人福岡県社会保険協会会長、社団法人福岡青年会議所事務局長、同財政顧問、同法制顧問を歴任。2004年には世界百ヶ国以上の青年経済人を集めた過去最大規模の国際青年会議所世界会議福岡大会事務総長を務めた。現職は、医療法人泯江堂副理事長、西日本メディカルサービス株式会社代表取締役。
コロナ禍に入り大学時代からの夢であった作家活動をペンネーム「三野原明音」名義で開始。処女作『残の海人』は、web小説界にて歴史とミステリーが交錯する叙事詩的作品として人気を集める。続くSF作品「ブースター」では、高校生の葛藤と成長を描き、多様な読者層から支持を得ている。 “物語には人を変える力がある”をモットーに朗読や物語療法的アプローチによる発達支援の新しいあり方に挑戦している。
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